カエルの絵本 むらをすくったかえる
「むらをすくったかえる」
サトシン/著 塚本やすし/イラスト
出版社:ディスカヴァー・トゥエンティワン
32ページ
商品説明
村はずれの、沼地ほとりに棲みついた一匹のかえる。
しかし、村人たちからは「気持ち悪いよそ者がえる」として、嫌われていた。
やがて、村が大かんばつに襲われると知ったかえるは、思った。
「まもなく、田畑は乾き、井戸は枯れ、村じゅう、死に絶えてしまうことだろう。ざまあみろだ! 」
しかし、かえるはこうも思った。
「だけど、もし、おれの雨乞いの歌で、日照りから村を救うことができたなら……」
説明文より抜粋
出版社からのコメント
【著者よりコメント】
いつもは読み聞かせでドカーンとうける、楽しい系のお話が多い自分ではあるけれど、これは、そういう類の話ではありません。
が、いろいろと考えているうちにどうしても描ききりたくなり、時にはがしがしと書き進め、時には立ち止まり、時には遡って書き直しながら、なんとかカタチにしてみました。
心がひりひりするような苦い思いも残るだろうけれども、それは絵本としてはどうなのかと迷う時期もあったけれども、それでも、と、アイロニーにしてみました。
わかりやすいハッピーエンドではありません。しかし、一見悲しい結末のようではあるけれど、その先に、人生への希望のようなものが垣間見えるものを目指してみたつもりです。
主人公は、村外れの沼に住み着き、村人たちから「気持ち悪いよそ者」と嫌われていたカエル。
彼は何を思い、なぜ行動したのか。子どもたちに、そして大人にも響き、深く残るようなテーマを。
そして、お話を。そんな思いで書き上げた、自分からの、絵本からの、新しい挑戦です。
著者サトシン
絵本画家として、最初に原稿を受け取ったとき、私は久しぶりに震えました。
それは、この素晴らしい原稿をどのように表現するか、どのように描いて見せるか……。
私は考え抜きました……。
悩みました……。
そして数カ月後に、描き上げた絵本の原画が私の目の前にあったのです。
もう私には、これ以上の表現はあり得ませんでした。
これ以上の力はありませんでした。
私の全身全霊をかけた渾身の絵本作品を、どうぞご覧になってください。
イラストレーター塚本やすし
画像出典:出版社